八月の花嫁 上演後記(1)

JOLT planning vol.5『八月の花嫁』
8月15日を持ちまして劇場公演の全日程を終了しました。
ご来場の皆様、誠にありがとうございました。

8月27日~9月11日の配信公演に先駆けて、制作に際しての裏話などを徒然につづってみようと思います。一部ネタバレを含みますので、配信公演ご視聴予定の方はご注意ください!

【重岡家、仏壇あれこれ】

原爆によって消失した重岡家の家屋。
信子がいろんな人の手を借りて苦労して立て直しました。
居間の隅に仏壇代わりに据え置かれた文机。
その上には信子の両親と二人の兄の位牌が並んでいます。
今回はこの位牌についてのお話です。

左から順に、父・正一、母・文子、長兄・清、次兄・勇の位牌が並んでいます。
位牌の表面にはそれぞれの戒名が、裏面には俗名と行年が記されています。
戒名には俗名の一字を入れ、他の部分はその人の人となりをあらわすように考えました。

父・正一の戒名は「真勤院正賑道雲居士」(しんごんいんしょうしんどううんこじ)
重岡旅館を大きくするため一生懸命「勤」めて、彼がいるだけで周囲が「賑」やかになるような人。流れる雲のごとく飄々とした人という意味を込めました。「道雲」は私・松崎丈(本作の作者)の祖父で、私に戦争のことを語ってくれた祖父の戒名の一部でもあります。

長兄・清の戒名は「真峯院清悠博陸居士」(しんぽういんせいゆうはくろくこじ)
そびえる峯のように気高く、おおらかで優しい人。陸軍の兵卒として広い陸を歩き続け、やがて清らかな悟りの世界に至る人、という意味を込めました。

次兄・勇の戒名は「真青院勇篤航証居士」(しんじょういんゆうとくこうしょうこじ)
海軍の軍人として青い海を渡り、篤実な心の持ち主で、やがて悟りの世界に至る人という意味を込めました。「航」の一字を入れたのも、彼が海軍に身を投じた志願兵だったからです。

母・文子の戒名は「真想院文綽慈摂大姉」(しんそういんぶんしゃくじせつだいし)
一心に家族のことを「想」い、たおやかで、慈悲の心で周囲を包み込む人という意味を込めました。おおらかさと強さを併せ持った女性像を込めた戒名です。

ちなみに第一場、節子が抱えてくる位牌には彼女の両親の戒名が。
節子の父の戒名は「覚暢院貞仁涼寂居士」(かくちょういんていじんりょうじゃくこじ)
俗名は「竹内貞」(たけうちさだむ)で、優しく、朗らかな人。原爆で亡くなった彼に涼しい風の吹く悟りの世界に至ってほしいという願いが込められています。
節子の母の戒名は「覚明院薫桜奏溢大姉」(かくみょういんくんおうそういつだいし)
俗名は「竹内さくら」(たけうちさくら)で、音楽が好きだったという設定。明るい人柄の彼女が音楽の溢れる仏土へ行けるようにと願いを込めました。

文机に置かれている小箱は、今回舞台美術を担当していただいたYugero Companyさんの細やかな心配りの産物です。

「ちーん」とならす「おりん」は今回出演のくのりゆうきさんが持参してくれたもの!
線香立ては松崎がトイレットペーパーの芯で作りました笑

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