学習レコーディングのすすめ(2)

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前回の記事では、英語力が伸びが実感しづらい「踊り場」期を乗り越える方法として、「学習レコーディング」をお勧めしました。
今回はより具体的に、どのように学習レコーディングを取ればよいかについてご説明したいと思います。ぜひ参考にしてみてください。

1.何を記録しておくか?

「学習レコーディング」を取る目的は、なかなか実力の伸びが感じられない時に学習記録を見直し、「大丈夫!自分はこれだけやっているから!」と自分を落ち着かせることです。

もちろん記録に基づいて、自分の学習に足りないことを分析し、今後の学習計画に活かすことができればベストですが、これはなかなか難しいことです。

まずは自分の安心(または反省)材料として記録を取るとよいでしょう。

一般的に人間が安心を感じるのは、「内容」よりも「数量」だと言われています。

「今日は『不定詞』をやったから大丈夫!」よりも「今日は2時間勉強したから大丈夫!」の方が安心を感じられるそうです。

この観点に立てば、学習レコーディングで記録すべきことは「数量」だということになります。

「学習時間」「学習した語彙の数」「読んだ英文の本数」「聞いた英文の本数」などを中心に記録しておくとよいでしょう。

学習した内容は「文法(G)」「リーディング(R)」「リスニング(L)」「スピーキング(S)」「ライティング(W)」「単語学習(V)」など、大まかなものでOKです。

筆者はExcelシート(またはGoogleスプレッドシート)を使って記録を取っています。

参考までに筆者が行っている学習レコーディングを掲載しておきます。(筆者はすでに英文法の勉強は行っていませんので、「分野」のところに「G(文法)」の記録は取っていません)

2.記録はシンプルに

学習レコーディングを取るときは、できる限りシンプルにします。

あまりにも詳しい記録を取ると、記録を取ることが目的化してしまいます。レコーディングの作成に時間がかかり、学習時間が減ってしまっては本末転倒です。

また記録を取る時間を短縮するために、関数などを上手に活用しましょう

たとえば「日付」や「曜日」を毎回打ち込むのは時間の無駄です。

筆者は記録する月の最初の週の月曜日の日付を「第1週」のシートの「A3」のセルに打ち込むと、その月の「日付」と「曜日」がすべて自動で記入されるように設定しています。

また日々の「学習時間」や「学習語彙数」、読んだり聞いたりした記事の「本数」は手で打ち込みますが、それらの「週計」「月計」は自動計算できるような関数を利用しています。

※詳しいやり方を知りたい方はGoogleなどで調べてみてください。調べるのが面倒な方は、この記事の最後に「学習レコーディング」のフォーマットを掲載していますので、活用してみてください。

3.数値はしっかり記録しておく

学習時間、学習した語彙の数、読んだり聞いたりしたテキストの数などはきちんと記録しておきましょう。

ただ単に「Japan Timesを読んだ」だけでは、何本の記事を読んだのか、それにどれくらいの時間がかかったのかがあいまいで、あとから見直したときに学習量が把握できません

記事の中身などまで記録する必要はありませんが、少なくとも「どれくらいの数」「どれくらいの時間」をかけて読んだのかなどの数値は記録しておいた方が良いでしょう。

また「学習した語彙数」もしっかりと記録します。

「学習した語彙数」は「初めて知った語彙」の数にしてもいいですし、「初めて知った+記憶があいまいで覚え直した語彙」の数にしてもいいでしょう。

あまり細かく考えて、「これは『学習した語彙』に入れてもいいのか?」と迷っていると、時間がもったいないので、「勉強になった!」と思えたものはどんどん「学習した語彙」に入れてしまうとよいでしょう。

4.週ベース・月ベースで記録する

記録は週ベースで取ることがおすすめです。

その1週間に学習したことを一覧的に分かるようにしておくことで、週ごとの学習のバランスや学習時間の推移が分かりやすくなります。

その上で月ごとの記録もシンプルに取っておくとよいでしょう。

月ごとのレコーディングは1か月の総学習時間を記録しておけば事足りますが、時間があればその月に聞いたニュースの総本数、読んだ記事の総本数、勉強した語彙の総数なども記録しておけば、安心材料としてより確かになります

このあたりもExcelやGoogleスプレッドシートの関数をうまく活用して、自動計算・自動記入できるようにしておけばよいでしょう。

筆者は学習結果の推移が一目で分かるように、自動でグラフが作成できるようにしています。

筆者は年計も取っています。これは数値を手打ちすることになりますが、月ごとの推移や学習分布を把握できて便利です。

5.学習の所感を記録する

学習を通じて感じたことを簡素でいいから記録しておくとよいでしょう。上手くいったこと、反省したことなど何でも構いません。

学習していく上で「気づき」があるということは深い学習ができている証拠です。

逆に学習する中でなんの「気づき」もないということは、学習が悪い意味で「自動化」(ただこなしているだけ)になっている可能性があります。

所感は毎日書く必要はありません。週ベース、月ベースで「まとめの所感」のようなものを書いておけばよいでしょう。

もちろん、その日の学習で特に深く気付いたことがあれば、日ベースで所感を書いてもかまいません。

参考までに筆者が使っている学習レコーディングのフォーマットを掲載しておきます。
ご使用になる方は「コピーを作成」「ダウンロード」などをしてください。

学習レコーディング(フォーマット)

学習レコーディングを行い、それをときどき見直すことで、たとえ伸びを実感できない「踊り場」期でも必要以上の不安に駆られることなく、粛々と学習を進めることができます。
また学習レコーディングを定期的に見直すことで、学習のアンバランスなどが見えてくるので、今後の学習計画を立てる上でも有効です。ぜひ参考にして、活用してみてください。