“talk”の本質を理解して使える表現を身につけよう(2)

【この記事は約4分で読めます】

前回の記事では“talk”という単語の本質である「対話する」という感覚に着目して、いくつかの表現をご紹介しました。今回の記事では「対話」を本質とするtalkも一緒に使う言葉によっては「単方向」的なニュアンスを持つことを、実例を挙げながら考えてみたいと思います。

1.talkなのに「一方的に話す」?

前回の記事で確認したようにtalkの本質は「対話」です。「双方向」のニュアンスを持つのがtalkでした。

それでは次のような例はどうでしょうか?やはりtalkは双方向のイメージで使われているでしょうか?

A: I heard that you have been transferred to the sales department.

B: Yes. Now my boss is Mr. Smith.

A: Really? Well, my heart goes out to you.

B: Why? Any problems with him? But he seems like a nice person who likes to talk with people.

A: He likes to talk at people, not with people, and he rarely listens to others.

A: 営業部に転属になったんだってね。

B: そうなの。新しい上司はスミスさんよ。

A: 本当?あらま、お気の毒さま。

B: どうして?何か問題でもあるの?でも彼はみんなと話すのが好きな良さような人だけど。

A: 彼は一方的に話すのが好きなんだよ、一緒に会話するんじゃなくてね。しかもほとんど人の話を聞かないよ。

talk withには「対話」のニュアンスがありますが、talk atは「一方的に話す」という感じです。

これにはatという前置詞が関係しています。

atは「点」を表す言葉で、何かに焦点を絞ったり、的を絞ったりするニュアンスがあります。「~をめがけて」という日本語がしっくりくる感じです。

いかにtalkと言えども、atのような的を絞るような言葉と一緒に使うと「対話」のニュアンスが薄れます。

単語はそれ単体で存在しているわけではなく、他の言葉と結びついて使われるわけですから、一緒に使う言葉によって本来の感覚が薄まってしまうことがあるのです。

2.talkなのに「上から目線」?

もう一つ例を挙げてみましょう。talkに双方向のニュアンスが感じられるでしょうか?

A: I’m stuck on the new sales plan. I’m thinking of asking Mr. Smith for some advice.

B: If I were you, I wouldn’t go to him.

A: Why not? He is our sales team leader.

B: Maybe you don’t know this because you’re new to our team. He is kind of arrogant and tends to talk down to people.

A: Is that so? Then who should I go to for help?

B: Try Ms. White. She is an experienced salesperson, and very compassionate.

A: 新しい販売計画のことで行き詰っちゃってさ。スミスさんにアドバイスを頼もうと思うのよ。

B: 僕だったら彼のところには行かないね。

A: どうして?彼は営業チームのリーダーでしょ。

B: 君はこのチームに来たばかりだから知らないかもしれないけど、彼は傲慢なところがあって、人を見下したように話しがちなんだよ。

A: そうなの?じゃあ、誰にアドバイスをもらいに行けばいいかしら?

B: ホワイトさんにしてみなよ。営業経験が豊富だし、とても思いやりのある人だから。

先ほどのtalk atよりは多少「双方向」のニュアンスがあるかもしれませんが、「上から見下したように」話すわけですから、やはり「対話」という感じはしませんね。

「上から下へ」話をする感じがdownという言葉によく表れています。

やはり一緒に使う単語によってtalkのニュアンスが変化していることが分かりますね。

3.talkの共起表現を検索すると…

一緒に使う言葉の重要性を知っていただきたいので、talk atやtalk down toという表現をあえてご紹介しましたが、これらの表現はどれくらいの頻度で使われるのでしょうか?

このように言葉が使われる頻度を知りたいときは、共起表現を検索してみるといいでしょう。

共起表現とは「よく一緒に使われる言葉」ということで、Weblioなどで共起表現を検索してみると比較的簡単に把握することができます。

実際にtalkという言葉の共起表現をWeblioで検索してみると、圧倒的にtoとaboutが一緒に使われる頻度が高いことが分かります。

talk toは「~に対して話しかけて対話する」、talk aboutは「~について対話する」という感覚の表現ですね。

このような集計を見てみると、まずはtalk toやtalk aboutをしっかりと使えるようになることが重要だということが分かります。

その一方で、talk atやtalk down toのような表現に出会ったときは、talkが持つ「双方向」の感覚にこだわりすぎず、柔軟に対応すればよいということもお分かりいただけるのではないでしょうか。

英単語や英語表現には単体として持っているニュアンス・感覚があります。しかしどのような言葉と一緒に使うかによって、その英単語や表現が本来持っているニュアンスが薄れてしまうこともあるのです。前回と今回ご紹介した言い回しを参考にしながら、talkを便利に活用していただければ幸いです。
Information

さよなら、丸暗記!英語の本質を理解して、本当に使える英語力を!
KMUメソッドで英語の基礎力・運用力を高める大人のための英語・英会話スクール
初心者の学び直し英語から中上級者のBrush Upまで幅広いレベルとニーズに対応!
スクーリングコースの他、オンラインレッスンにも対応可!

【東京・新宿】英語・英会話JPED
入会説明会・無料英語セミナー・オンライン無料個別相談、随時開催中!