“talk”の本質を理解して使える表現を身につけよう(1)
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1.talkの本質は「対話」すること!
talk・speak・tell・sayの4つをごく簡単に区別すると以下のようになります。
talk:対話する(双方向)
speak:発言する(単方向)
tell:伝える(伝達内容に焦点)
say:言葉を発する(言った言葉に焦点)
tellとsayについては別の記事でご紹介することにして、ここではtalkとspeakを比較しながら、その本質を考えてみましょう。
talkとspeakの共通点としては、これらの単語は「言葉を発するという行為」に焦点があり、発言の中身に注目しているわけではないということです。
sayやtellが後ろにthat節(thatが導くかたまり)を置くことができるのに対して、talkやspeakは後ろにthat節を伴いません。
that節は発言や思考の内容を示すときに用いられるのですが、先ほど述べたようにtalkやspeakは発言の中身に注目する単語ではないので、後ろにthat節を伴わないのです。
発言するという行為に着目する点でtalkとspeakは類義語として扱われることがありますが、talkは双方向、speakは単方向という違いがあります。
talkは言葉を使って「対話」しているという感じです。例文を挙げてみましょう。
B: Different? What do you mean, different?
A: Your face. It looks like you are worried about something.
B: Well, to be honest… No, nothing. I’m not worried about anything.
A: Really? If you have any problems, you can to talk to me. That’s what we always do in our team. If there are problems, we talk about them with each other, right?
B: いつもと違う?違うってどういうこと?
A: 君の表情がさ。心配事でもあるように見えるよ。
B: うん、実を言うとね…。やっぱ何でもない。心配事なんかないわよ。
A: 本当?何か問題があるなら僕に相談してよ。僕たちのチームではいつもそうしてるよね。困りごとがあればお互い話し合う、そうでしょ?
talkの本質は「対話」ですから、「相談する」とか「話し合う」というニュアンスを出すことができます。
これに対してspeakは良くも悪くも「一方通行」という感じがします。
一方的に話しているだけで、相手との対話が成り立っている感じがしません。
Everyone tries to stay away from him because he speaks ill of others most of the time.
「彼はしょっちゅう他人の悪口を言うので、みんな彼と距離を置こうとしている」
悪口を言うときなどは、相手と対話している感じがないですよね。一方的にああだこうだと言っている感じです。
I am honored to have the opportunity to speak at the beginning of this important conference.
「このような重要な会議の冒頭にお話しさせていただく機会をいただき光栄です」
演説やスピーチなども単方向な感じがしますよね。ですから、このような場合にもspeakが用いられるわけです。
2.「説得する」ときにもtalkが便利に使える!
「説得する」という単語を辞書で引くとpersuadeとかconvinceという単語が出てきます。
もちろん、これらもよく使われる単語ですが、「説得する」ときもtalkを便利に使うことができます。
自分の主張を一方的にまくしたてるだけでは相手を説得できませんよね。相手の考えや言い分に耳を傾けることも大切です。
「説得」には「対話」が必要であることから、talkには「説得する」というニュアンスが出てくるのです。
talk O into ~「Oを説得して~させる」
talk O out of ~「Oを説得して~を止めさせる」
上記の2つの形で使われることが多いのですが、何のために説得するのか文脈から明らかなときには”into ~”や”out of ~”の部分は省略しても良いでしょう。
それぞれ例文を挙げてみたいと思います。
B: Couldn’t agree more! He has enough knowledge, experience and leadership skills. Have you made him an offer?
A: I have. But there is a problem. He insists that he won’t take it.
B: Why not?
A: He says he doesn’t have enough confidence.
B: All right. I’ll talk him into taking the post.
B: その通りよ!彼には充分な知識や経験、指導力があるしね。彼にオファーしてみた?
A: したよ。でも困ったことがあるんだ。彼が引き受けないって言い張るんだよ。
B: どうして?
A: 自信がないんだってさ。
B: 分かったわ。私が彼を説得して引き受けさせるわよ。
対話をして行為や状態の「中に」飛び込ませる感じが”into”という前置詞によく表れていますね。
B: Will you tell me what it is?
A: She seems to spend too much time chatting with the store staff.
B: I see. I’ll talk her out of it.
B: 何が気になるか教えてもらえますか?
A: 店員とのおしゃべりに時間を使いすぎてると思うの。
B: なるほど。私から止めるように言っておきます。
「~するように言う」という表現として”tell O to V”をご存知の方もいらっしゃると思います。そこで、
I’ll tell her to stop it.
という言い方もできるでしょうが、この言い方だと一方的に「止めなさい」と伝え、軽く命令しているように聞こえます。
一方、例文のようにtalkを使うと、「対話」のニュアンスが出てきますから、相手の考えも聞いた上で止めさせる感じがします。
ただおしゃべりが好きで店員を私語をしているのではなく、店員とのコミュニケーションを取って職場の雰囲気を良くするためにおしゃべりしているのかもしれませんからね。
3.英会話の必須表現!”Now you’re talking!”
最後に日常英会話でよく耳にする表現をご紹介しましょう。
まずは例文を挙げてみますので、意味を考えてみてください。
B: That depends. What will you do for me in return?
A: I’ll buy you a beer.
B: Is that all I get for helping with an urgent job?
A: I’ll take you to a nice restaurant for dinner. How about that?
B: Now you’re talking! Just tell me what to do.
B: 条件次第ね。お返しになにしてくれるの?
A: ビールをおごるよ。
B: 急ぎの仕事を手伝ってそれだけ?
A: イケてるレストランでご飯をおごるよ。それでどう?
B: そう来なくっちゃ!何をすればいいか言ってちょうだい。
“Now you’re talking!”の意味をCambridge Dictionaryで調べてみると、次のように書いてあります。
said when someone makes a suggestion or offer that is better than one that they have already made
つまり「相手がより良い提案や申し出をしたときに使う」表現だということです。
「これで私たちは対話ができますね」という感覚が根底にあるのでしょう。
なかなか日本語にするのが難しい表現ですが、「そう来なくっちゃ!」「それならいいよ!」といったところでしょうか。
こちらの意に沿う相手に対して「話す」という言葉で表現する点は日本語も似ています。
「うちの上司は話せる人だ」「取引先の新しい担当者は話ができる人かい?」なんて言いますよね。
日本語ではこれと正反対の発想で表現することがあります。
相手がこちらの意に沿わない不充分な提案や申し出、条件を出してきたとき「お話になりませんね」なんて言いますよね。
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