“talk”と違いは?”speak”の本質を理解しよう!

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今回の記事では単方向のニュアンスを持つspeakについて、実例を挙げながら掘り下げてみたいと思います。掘り下げると言っても、speakの本質は「単方向の発話行為」という以上になにもありません。このニュアンスを踏まえながら、さまざまな実例に当たってみることで理解を深め、活用できるようになっていただければ幸いです。

1.speakの本質は「単方向」の発話行為

前回・前々回の記事でも触れましたが、talkは双方向の「対話」の感覚を持つ言葉です。

これに対しspeakは「単方向」のニュアンスを持つ単語で、話している中身よりも、「話すという行為そのもの」に焦点がある単語です。

みなさんご存知、「英語を話す」は“speak English”ですが、これは「英語を話す」と言うときには「話す内容」を問題にしておらず、しかもそこに「対話」のニュアンスがないからです。

それでは言語を話すときには必ずspeakを使うのでしょうか?次の例で考えてみましょう。

A: Do you speak Japanese?

B: No, I don’t understand a single word. But I like listening to people talking Japanese.

A: That’s interesting. Why do you like it?

B: Because the sounds of Japanese language are beautiful, and the combination of those sounds is just like music. I feel really calm when I listen to it.

A: 日本語、話せる?

B: ひと言も分からないよ。でも誰かが日本語を話しているのを聞くのは好きなんだ。

A: 面白いわね。どうして好きなの?

B: 日本語の音って美しいし、音の組み合わせが音楽みたいだしさ。日本語を聞いてると本当に落ち着くんだよ。

Aさんが”Do you speak Japanese?”とspeakを使ったのはなぜでしょうか?

それはAさんが、「対話」を意識していないからです。独り言でもスピーチでも何でもいい、単方向でもいいからとにかく「日本語を話す」かどうかを尋ねているにすぎません。

Bさんが”I like listening to people talking Japanese.”とtalkを使ったのはなぜでしょうか?

それは彼が、人々が日本語で「対話」している様子を思い浮かべたからです。

みんなが日本語であれやこれやと言葉を交わしている場面を想像しながら、「誰かが日本語で話しているのが好きなんだよね」と言ったわけです。

「言語を話す」というときは必ず”speak”を使わなければならないというルールなどありません。

双方向の対話を意識していればtalkを使い、単方向の発言を意識していればspeakを使うということなのです。

2.「コメント」するのもspeakでOK

speakが持つ「単方向」の感覚は、何かについてコメントしたり自分の意見を述べたりするときにも活かされます。

コメントや意見を言ったりするときは、双方向な感じがしないからです。実践的な例を通して確認してみましょう。

A: Don’t you think that the president should make an immediate comment about the illegal activities of the accounting department?

B: I agree. But he says he should wait for the right time to speak about it.

A: What does he mean by the right time? He seems to know nothing about risk management.

A: 経理部の不法行為について、社長がすぐにコメントを出すべきだと思わない?

B: そうだね。でも社長はコメントを出す適切な時期を待つべきだって言ってるよ。

A: 適切な時期ってどういう意味よ?社長はリスク管理について何も知らないみたいね。

経理部の不正について社長がコメントを出すときなどは、単方向・一方的に話している感じで、「対話」している感じはないですよね。

ですから”speak about it”という表現を使っているわけです。記者会見の冒頭で、社長が謝罪したり経緯を説明したりしているイメージです。

もし、記者会見の後半の質疑応答の部分などをイメージしているのであれば“talk about it”といっても良いでしょう。

社長と記者たちの間に「対話」が感じられるような場合はtalkの出番と言うわけです。

もう1つ実践的な例を挙げてみましょう。

A: In the meetings, our boss always encourages us to speak frankly about our company policy.

B: I know, but if he really wants us to speak our minds, he should try to create an open atmosphere first.

A: Isn’t he trying hard enough?

B: Don’t you know that he takes secret notes of what we talk about in the meetings to report back to the board members?

A: うちの上司は会議のときに、会社の方針について率直に意見を言うように、いつも僕たちに促すんだよ。

B: 知ってる。でもさ、本音を言ってほしいって本当に思ってるんなら、オープンな雰囲気をつくるように努力すべきよね。

A: 充分努力してると思うけどな。

B: 知らないの?あの人、私たちが会議中に話したことをこっそりメモして、重役に報告してるのよ。

会社の方針について意見を言う、本音を言うというあたりは単方向な感じがするのでspeakがぴったり来ます。

一方、「私たちが会議で話したこと」という部分は、参加者があれこれと意見を交わしている「対話」の感じがありますから、こういうときはtalkの出番というわけですね。

演説やスピーチをするときも、単方向な感じがするのでspeakが使われます。

speakとtalkの違いが顕著に出ている例をもう1つ挙げておきましょう。

A: About the new project, all you have to do is follow my instructions.

B: I’d also like to hear from the team members.

A: That’s not necessary. How can I expect any good ideas from them?

B: With all due respect, we’ve invited you to this meeting because we’d like you to talk with us, not to speak to us.

A: 新しいプロジェクトについては、私の指示に従っていればいいんです。

B: チームのみんなの意見も聞きたいのですが。

A: その必要はありません。彼らからいいアイデアが出て来るとは思えませんね。

B: お言葉ですが、あなたを会議にお招きしたのはみんなと話し合ってほしいからです。一方的に意見を言っていただくためではありません。

speakが持つ単方向な感じと、talkが持つ双方向な感じが対比的に用いられていることにお気づきになったと思います。

3.speakには「代弁する」という意味もある?

最後にspeakが「代弁する」「代表して話す」という意味で用いられる例を見てみましょう。

ある人やグループを代表して意見を表明するときなどには、やはり単方向な感じがあるのでspeakが用いられるわけです。

政府や企業の広報担当の人をspokesmanとかspokespersonということがありますね。

政府や企業を代表して話す人だからこのように呼ばれるわけです。実践的な例を挙げて確認してみましょう。

A: Do you think there is a chance that the President will be re-elected?

B: I doubt it. Now we all know that he’s not the one who speaks for the people.

A: Who do you think he is speaking for?

B: The big corporations! He always puts the interests of big business first.

A: 大統領が再選される可能性はあると思う?

B: どうだかね。彼が国民の代弁者じゃないってことはみんな分かってるからね。

A: じゃあ誰の代弁者なの?

B: 大企業よ!いつも大企業の利益を最優先するじゃない。

「代弁する」「代表して話す」というときにはspeak forの形で使われるのが普通です。

speakに「代弁する」という意味があるというよりも、forに「交換」の意味がありますから、「代わり」「代理」というニュアンスが出てくるわけですね。

今回はspeakという単語を、その本質であるs「単方向の発話行為」という観点から考えてみました。辞書などに羅列されている「意味」をすべて覚えなくても、その言葉が持つ本質を理解すれば、幅広く活用できる可能性があることをご理解いただけたのではないでしょうか。今回の記事を参考にしていただきながら、TPOに応じたspeakの使い方をマスターしていただければ幸いです。
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