実は意外と難しい?「言葉」にフォーカスする”say”の用法

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今回は”say”の使い方について、この言葉が持つ本質に着目しながら考えてみたいと思います。sayはtellと同じように「話す内容」にフォーカスする表現ですが、tellが「伝達する内容」に着目するのに対し、sayは「口にする言葉」そのものに着目します。具体的な例文を挙げながら確認していきましょう。

1.sayは「口にする言葉」に着目する!

前回の記事でも触れましたが、tellとsayの違いをもう一度確認しましょう。

tellは「伝達する内容」に着目する表現でした。

たとえば「私にその話を聞かせてください」というときには、”Would you tell me the story?”となります。

話の中身、話の内容を聞かせてほしいわけですから、「内容」に着目するtellを使うわけです。

これを”Would you say the story?”とすると、なんだか変な感じがします。

「”the story”という言葉を口にしてください」という意味に聞こえるので、言われた人は”the story, the story”を繰り返し言い始めるでしょう。

このことからもsayが「口にする言葉」に着目した表現だということが分かります。

sayとtellは両方とも後ろにthat節を従えることができますが、若干の違いがあります。

tellは「伝達する内容」に着目する以上、「伝える」相手を想定するのが普通です。

一方、sayは「口にした言葉」に着目するのであって、「伝える相手」を想定はしていないということです。

簡単な例を使って確認してみましょう。tellとsayのどちらを空欄に入れるのがより適切でしょうか?

All I can (  ) is that he’s not guilty.
All I can (  ) you is that he’s not guilty.

1つ目は”say”がより適切です。「誰に言うか」に着目していないからです。

2つ目は”tell”がより適切です。「あなたに」と伝える相手を想定しているからです。

それでは次の文はどうでしょうか?

All I can say to you is that he’s not guilty.

この英文を不自然に感じないネイティヴもいるでしょうが、正しくはsayではなくtellを使いたいところです。

伝える相手を想定しているときには、やはりtellを使う方が自然に感じられるということです。

実践的な対話文を例にして、sayについてさらに考えてみましょう。

A: I’m starving. Do we have something to eat?B: You told me this morning that you’d be late tonight, so I didn’t buy you anything.

A: OK. Then I’ll go out to eat. Are you coming with me?

B: Sure. I want to try the new Japanese restaurant in our neighborhood. What do you say?

A: 腹ペコだよ。何か食べるものある?B: 今朝、今夜は遅くなるって言ってたじゃん。だから何も買ってないよ。

A: そっか。じゃあ、外に食べに出ようかな。一緒に来る?

B: いいよ。近所にできた新しい和食のお店に行ってみたいんだ。どうかな?

”What do you say?”はネイティヴがとてもよく使う表現です。

直訳すれば「あなたは何を言いますか?」ということですが、相手の意見を求めて「どうですか?」「どう思いますか?」ということです。

つまり「あなたはどんな意見を言いますか?Yesですか?Noですか?」といった感じですね。

2.sayするのは人だけじゃない!新聞も看板もsayでOK!

言葉を発するのは人間に限ったことではありません。

新聞だって看板だって、言葉を発していると考えられますよね。

sayは情報を発するメディアを主語にして使われることも多いのです。

実例を通して確認してみましょう。

A: We’re gonna miss the beginning of the movie. Why are you driving so slow?B: But the road sign says the speed limit is 30 kilometers per hour.

A: Excuse me! It says 80, not 30.

B: Is that so? God, I definitely need new glasses.

A: 映画のはじまりを見逃しちゃうよ。なんでそんなにノロノロ運転してるの?B: だって標識には制限速度30kmって書いてあるじゃん。

A: なに言ってんの!80kmって書いてあるのよ、30kmじゃないわよ!

B: そうなの?あちゃあ、こりゃ、新しい眼鏡が必要だな。

新聞やテレビを主語にするsayの例文は参考書などにもよく載っていますが、上の例文のように標識や看板、張り紙やポスターなど、情報を発するメディアなら何でもsayと一緒に使えます

もう1つ例を挙げてみましょう。

A: The president says he’s going to give us an extra bonus before the Christmas holidays.B: Doubtful. Let’s not be so optimistic.

A: What do you mean?

B: Just take a good look at him. His face says that he has no intention of doing so.

A: 社長はクリスマス休暇の前に臨時ボーナスを出すって言ってるよ。B: どうだかね。甘く考えるのは止めときましょ。

A: どういうこと?

B: 社長をよく見てみなよ。そんなつもりはないって顔に書いてあるじゃない。

日本語でも「目は口ほどのものを言う」と言いますが、英語でも「顔が言っている」「目が言っている」などという表現をすることがあります。

英語も日本語も、同じ「言語」である以上、似通った発想をすることがよくあるわけですね。

3.「仮定」「例示」のsayってなんだ?

辞書を引いてみると、sayには「もし~ならば」という仮定の意味や、「たとえば~」という例示の意味があると書いてあります。

「口に出す言葉」に着目するsayに仮定や例示の意味があるとは一体どういうことでしょうか?

これは「言葉で提示して、相手に考えてもらう」ときに使われる表現なのです。

実践的な例を通して考えてみましょう。

A: In today’s lesson, what would you like to talk about?

B: I’d like to talk about energy issues.

A: All right. Let’s say we ran out of fossil fuel right now, what do you think would be the best replacement?

B: Wow, that’s a tough question to answer! Can we change the subject?

A: 今日のレッスンでは何について話したいですか?

B: エネルギー問題について話したいです。

A: 分かりました。仮にいますぐ化石燃料が底をついたとしましょう。あなたは何がもっとも良い代替エネルギーだと思いますか。

B: わあ、難しい質問ですね。話題を変えてもいいですか?

”Let’s say”という部分で、「化石燃料が底をつく」という仮定を言葉で提示して、代替エネルギーは何がいいか、相手に考えてもらおうとしていますね。

このようなときにsayが使われるわけです。「言葉で提示する」というあたりが、sayの持つ「口にする言葉に着目」という感覚と相性がいいわけですね。

次の英文を見てみてください。

Let’s say he doesn’t come to the party, I won’t go either.

「彼がパーティーに来ないなら、私も行かない」と言いたいのでしょうが、この英文は不自然な感じがします

なぜならば、相手に考えてもらおうというニュアンスが感じられないからです。

Let’s say he doesn’t come to the party, are we still going?

この英文なら自然な感じがします。

「彼がパーティーに来ないとして、私たちはそれでも行くの?」という意味で、相手に考えてもらおうというニュアンスがあるからです。

「例示」を表すsayについても例文を通して考えてみましょう。

A: Do you have any plans for next Sunday?

B: Nothing special. Do you?

A: Not yet. Why don’t we do something together, say go to the movies?

B: Sounds good. Any particular movie you want to see?

A: 次の日曜日、何か予定ある?

B: 特にないよ。あなたは?

A: いまのところないよ。一緒に何かしない?例えば映画に行くとか?

B: いいわね。何か見たい映画ある?

「たとえば映画に行くとか?」と例を挙げるときにsayを使っていますね。

これも相手に提示して考えてもらうイメージです。ですから、

I like all kinds of vegetables. Say, eggplant, spinach, and green pepper.

この英文が不自然なことは、もうみなさんお分かりですね?相手に考えてもらうことを前提としていないからです。

このようなときは、

I like all kinds of vegetables. For example, eggplant, spinach, and green pepper.

などと、for exampleやその類似表現を使う方が自然な感じがします。

このように仮定や例示でsayを使うのは、ネイティヴ英語では非常によく見られる表現です。ぜひ知っておいていただきたいと思います。

今回は「口にする言葉」に着目するというsayの本質に基づいて、さまざまな用法をご紹介しました。注意したいのは、表面的な意味だけ覚えては、奇妙な英語を使ってしまうことになりかねないということです。特に「仮定」や「例示」の意味でsayを使うときは、「相手に考えてもらうために提示する」というポイントを忘れないようにしたいものです。
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