willの本質を理解して、意味の広がりを楽しもう!
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1.現在の傾向・習性のwillとは何か?
筆者が高校生の時、英文法の授業で「willには現在の傾向・習性の意味がある」と習いました。
そのとき例文として”Accidents will happen.”「事故は起こるものだ(傾向)」という英文が示されました。
しかし、「willは未来形」という刷り込みが行われていた筆者は、この用法がどうしても腑に落ちず、先生に何度も質問したことをよく覚えています。
それにしても、なぜwillには「現在の傾向・習性」という用法があるのでしょうか?
理由はとても簡単で、これも「強い推測」というwillの本質と関係があります。
傾向・習性・習慣などは「推測しやすい」のでwillを使って表現できる、それだけのことなのです。
たとえば、目の前にお腹を空かしている赤ちゃんがいるとします。
この赤ちゃんは泣くでしょうか?笑うでしょうか?
おそらく大きな声で鳴き始めてしまうでしょう。
では、どうして私たちは、この赤ちゃんは泣き始めると「推測」できるのでしょうか?
それは、赤ん坊はお腹が空いているときに泣くという「傾向」があると知っているからです。
このように「傾向」があること、あるいは「習性」や「習慣」などは「推測」しやすいので、推測を本質とするwillを使って表現できるということなのです。
具体的な例文を使って確認してみましょう。
A: Why were you late for the meeting this morning?
B: The train was delayed because of an accident.
A: Well, accidents will happen. My question is why you were late without making a single phone call.
B: The battery was dead. I forgot to charge my smartphone last night.
A: どうして今朝の会議に遅刻したの?
B: 事故のせいで電車が遅延していたんです。
A: まあ、事故は起きるもんだよ。僕が聞いているのは、どうして一本の電話もよこさずに遅刻したのかということだよ。
B: 充電が切れていたんです。昨日の夜、スマホを充電するのを忘れてしまいまして。
”accidents will happen”の部分では、「傾向」の意味でwillが使われているが分かりますね。
では次の例ではどうでしょうか?
やはり「傾向」の意味でwillが使われているでしょうか?
A: I’ve recently taken up tarot reading. Do you want me to read your fortune?
B: Yes, please do.
A: Oh, the wheel of fortune, reverse position.
B: What does it mean?
A: It means that something bad is about to happen. I’m afraid that an accident will happen to you.
A: 最近タロット占い始めたんだよ。占ってほしい?
B: ええ、お願いするわ。
A: あら、運命の輪のカードが逆位置で出ちゃった。
B: どういう意味なの?
A: 何か悪いことが起きるってことだよ。事故に遭うかもしれないね。
この場合の”an accident will happen to you”は「傾向」の意味ではありませんね。
これは「事故が起こる」ということを推測しているにすぎません。
willの本質はあくまで「強い推測」であるということなのです。
2.「過去の習慣」を表すwouldの正体
過去の習慣を表すwouldをご存知の方もいらっしゃると思います。
どうしてwouldが過去の習慣を表すのかと言えば、そもそもwillに「習慣」の意味があるからです。
先ほども述べたように、習慣的なことは推測しやすいのでwillで表現できるというわけです。
例文を通して確認してみましょう。
A: I’m so sick of my neighbors. They will often argue all night and disturb my sleep!
B: That’s terrible. Have you told them to keep it down?
A: No. I don’t want to have a conflict with them.
B: Why don’t you ask your super to tell them for you? My neighbors would often make a lot of noise. But right after my super warned them, they became quiet.
A: お隣さんにはうんざりだわ。しょっちゅう一晩中、口げんかして、こっちは眠れやしない!
B: それはひどいね。静かにするように言った?
A: 言わないわよ。もめごと起こしたくないもん。
B: 代わりに管理さんに話してもらったら?うちのお隣さんもよく騒いでたんだけど、管理人さんが注意したらすぐに静かになったよ。
”They will often argue all night and disturb my sleep!”の部分は、現在の習慣的行為を表しています。
この部分を現在形で表現することはできないのでしょうか?
もちろん現在形で”They often argue all night and disturb my sleep!”としてもOKです。
むしろ、現在の習慣的行動は現在形で表すのがより一般的です。
現在の習慣を表すwillがあまりフィーチャーされないのは、わざわざwillを使わなくても現在形で充分表現できるからなのです。
”My neighbors would often make a lot of noise”の部分は過去の習慣を表しています。
過去のことだからwouldを使っているわけですね。
こちらはよく使われる表現なので、文法書などでも必ず取り上げられていますが、wouldに突然、降ってわいたように「習慣」の意味が出てきたわけではありません。
もともとwillに「習慣」の意味があるので、wouldにも「習慣」の意味があるということです。
3.willが持つ「意志」の意味とは何か
「推測」を表すwillが「意志」を表すことができるのはなぜでしょうか?
まずは例文を挙げてみることにしましょう。
A: Are you ready to order?
B: Yes. I’ll have a coffee and a chocolate cake.
”I’ll have a coffee ~.”の部分で使われているwillは「推測」ではありませんよね。
「きっと私はコーヒーを飲む」なんて、自分のことを推測することはないでしょう。
そこでこのwillは「推測」ではなく「意志」と取る、それだけのことです。
ときどき「主語が1人称のときのwillは意志、主語が2人称や3人称のときのwillは推測」と説明されることがあります。
これは「自分のことは推測する必要はないから『意志』、他人の意志なんて分からないから『推測』」という論理による説明です。
しかし、こんなルールを覚える必要はまったくありません。
いかに自分のことといえども推測せざるを得ない場合だってありますし、他人のことでも相手の意志が分かることだってあります。
例文を挙げてみましょう。
A: You’re coming to the party I’m having this Friday, right?
B: I will, but I won’t be there from the beginning. I’ve been busy these days, and I’ll have to work overtime that day.
A: I see. By the way, do you think Steve is coming too? He hasn’t responded to my invitation yet.
B: I know he will. I mean, he has a crush on you. He won’t pass up the chance to make a move on you.
A: 今週の金曜日、私が開くパーティーに来るでしょ?
B: 行くつもりよ。でも初めからはいられないと思うわ。ここのところ忙しくて、その日は残業しなきゃいけないと思うのよ。
A: そっか。ところでスティーヴも来ると思う?まだ招待状に返事をくれてないのよ。
B: 来るつもりに決まってるわよ。彼はあんたにぞっこんなのよ。あんたを口説くチャンスを逃さないと思うわよ。
”I will, but I won’t be there from the beginning”の部分、1つ目のwillは「意志」でしょう。
「パーティーに行く意志がありますよ」と言っているわけですね。
2つ目のwillは「推測」ですね。「パーティーの最初からはいられない」ということを推測しているわけです。
このように主語が1人称でも「推測」の意味になることはよくあります。
”I’ll have to work overtime that day”の部分も「推測」と考えるのが自然でしょう。
「たぶんその日は残業しなきゃならない」と推測しているわけです。
”I know he will”のwillは「意志」と捉えるべきでしょう。
これを「推測」と考えると、”I know”の部分とつり合いがとれません。「知っている」のに「推測」するというのはおかしいですよね。
”He won’t pass up the chance”の部分のwillは「推測」でしょう。
「彼はきっとチャンスを逃さないよ」と言って推測しているわけですね。
この例からも分かるように、主語が1人称なら「意志」、主語が1人称以外なら「推測」という考え方は的を射ていないと言えるでしょう。
4.willのニュアンスの広がりを楽しもう!
言葉が持つ本質的な意味を知っていれば、その広がりにも柔軟に対応できます。
意味の広がりといっても、本質的な意味から大きく逸脱することはありません。
次の例文でwillのニュアンスの広がりを確認してみましょう。
A: When you are finished with these files, they will go back to that shelf, OK?
B: ・・・・・・・・・
A: You will say something when you hear people.
B: ・・・・・・・・・
A: God, I don’t understand why young new hires today will behave so rude.
A: このファイルを使い終わったら、あっちの棚に戻しておいてね。
B: ・・・・・・・・・
A: 聞こえたら何か言いなさい。
B: ・・・・・・・・・
A: まったく、最近の若い新入社員はどうしてこんな失礼な態度をとるのか分からないわ。
”they will go back to that shelf”の部分は、willが持つ「傾向・習性・習慣」などの意味からニュアンスが広がっています。
「使い終わったファイルはあっちの棚にいく」という傾向がある、つまりそういう「段取り」ですよ、というくらいの意味合いです。
この「段取り」の意味でwillが使われることはよくあります。簡単な例を挙げておきましょう。
「みなさん、よろしいですか。来場者の方はまず手を洗って消毒していただくことになっています」
“You will say something when you hear people”の部分は「意志」の意味から「命令」のニュアンスに広がっています。
「意志」が「命令」につながることは日本語でもよくありますよね。
たとえば、新婚の奥さんが旦那さんの実家へ行ったとしましょう。
義母に凝視されながら「花子さん、あなた、今日は私たちと一緒にお夕飯を食べながら、近況報告でもしてくれるつもりなんでしょ」と言われたらどうでしょう。
それはもはや、「意志」というより、有無を言わせない命令ですよね。
「意志」が「命令」につながるというのは、こういうカラクリなのです。
“young new hires today will behave so rude”の部分のwillは「傾向・習性」ですね。
「まったく最近の若い者ときたら…」という感じを込めてwillを使っているわけです。
ニュアンスの広がりを規定するのは、言葉そのものではありません。
その言葉が使われている場面、使っている人の表情や声のトーンなどです。
実際の会話では、相手が出す言葉以外のシグナルに注意することも大切ですね。
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