「伝える内容」が大事!tellの本質を押さえておこう!

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今回の記事ではtellという言葉の本質とその使い方について考えてみたいと思います。tellはsayとの使い分けが問題になることが多いので、そのあたりについても確認をしていきながら、tellをうまく活用できるようになっていただければ幸いです。

1.tellの本質は「伝達する内容」に着目すること!

talkやspeakが「話すという行為」そのものに着目しているのに対して、tellやsayは「話す内容」に着目するという点で大きな違いがあります。

その証拠に、talkやspeakはうしろにthat節(接続詞のthatが導くかたまり)を伴いません。

that節は発言や思考の内容を示すはたらきがありますが、talkやspeakは「内容」に着目する言葉ではないので、that節と相性がよくないわけです。

一方、tellやsayは「話す内容」に着目しますから、うしろにthat節を伴うことができるわけです。

では、tellとsayの違いは何でしょうか?

tellが「伝達する内容」に着目するのに対して、sayは「口にした言葉」に着目するのです。

簡単な例で比較してみましょう。

He said yes to me.

He told me about his yes.

1つ目は「彼は私にイエスと言った」ということです。彼が“yes”という「言葉」を発したということが言いたいわけです。

2つ目は「彼は私にイエスの内容を話した・説明した」ということです。

彼が私に言った“yes”という言葉の内容、それが何を意味していたのか(積極的な意味の”yes”だったのか、しぶしぶ承諾した”yes”だったのかなど)について話してくれた、説明してくれたということが言いたいわけです。

次はクイズ形式で考えてみてください。

「怒らないから本当のことを言いなさい」などという場合、みなさんはsayを使いますか?それともtellを使いますか?

I won’t be angry, so (   ) the truth.

ここはtellの出番ですね。

「本当のことを言いなさい」というのは「本当のことの内容、真実の内容を話しなさい」ということですよね。

内容を話すのだからtellを使うべき場面です。

ここで”say the truth”と言うと、言われた相手は”truth”という言葉そのものを口にすることになります。

“Truth, truth, truth!”とぶつぶつ言い始めてしまうでしょう。

このようにtellは「話す(伝達する)内容」に着目した表現、sayは「口にする言葉」そのものに着目した表現であるということを、まずは押さえておきましょう。

2.命令・警告・アドバイス―tellのやり方はさまざま

「内容を伝達する」ということは「メッセージを伝える」ということです。

メッセージの伝え方はいろいろとありますよね。親切に伝えればアドバイス、強く伝えれば警告、上の立場から伝えれば命令ということになるでしょう。

tellはこれらのさまざまなニュアンスを全部持っています

場面場面に応じて、あるいは表情や声のトーンなどを駆使しながら、tellにいろいろなニュアンスを持たせたり、tellからさまざまなニュアンスを読み取ることができるわけです。

実践的な例を挙げながら確認してみることにしましょう。

A: You’ve been married to John for thirty years, right?B: Yes. We’re celebrating our 31st anniversary next month.

A: It’s wonderful that you two really get along. I bet he is a perfect husband.

B: Not really. I really hate it when he tells me about what to do.

A: ジョンと結婚して30年だっけ?

B: そうよ。来月で31周年になるのよ。

A: 本当に仲がよくて素晴らしいわね。きっと完璧な旦那様なのね。

B: そうでもないわよ。あれしろこれしろって指図されるのが本当にムカつくわ。

この場合のtellには「命令」とか「指図」というニュアンスがありますね。

hateという言葉と一緒に使われることで、夫が妻にあれやこれやと、口やかましく言っている感じが出ています。

もう1つ例を挙げてみましょう。

A: I heard you had a date with David. How did that go?

B: Terrible. He kept speaking ill of his ex-girlfriend the whole time.

A: Do you remember what I told you?

B: You told me not to go out with him because he is a bastard.

A: デイビッドとデートしたらしいじゃない。どうだったの?

B: 最悪よ。ずっと元カノの悪口ばっかり言ってるんだから。

A: 私がアドバイスしたこと、覚えてる?

B: ろくでなしだからデートするなって言ってたわよね。

この場合、tellをアドバイスととってもいいでしょうし、警告ととってもいいでしょう。

デートについて「警告」というのは、少し大げさすぎる感じもしますが、口調や表情によっては「警告」ととれる場合もあると思います。

しかし次のような例ではどうでしょうか?

The doctor told me to quit smoking right away, otherwise he couldn’t guarantee that I would see cherry blossoms the following year.

「お医者さんはすぐに禁煙しなさいと警告した。さもなければ翌年の桜が見られるかどうか保証できないと」

かなり深刻な感じがしてきましたね。こんなときはtellに「警告」の感じがより強く出てきますね。

3.tellに「分かる」という意味がある理由

辞書を引いてみると、tellには「分かる」「知る」「区別する」「識別する」などの意味が列挙されています。

どうしてtellにはこのような意味があるのでしょうか?

その理由はとても簡単で、「内容を言える・伝えられる」ということは、その前提として「内容が分かっている・知っている」ということがあるからです。

「分かる」「知る」などの意味で「言う」という言葉を使うのは、実は日本語も同じです。

たとえば視力検査などのときに、「ここにどんな文字が書いてあるか言えますか?」などと尋ねられることがあります。

このときの「言う」という日本語は「分かる」という意味で使われていますよね。「ここにどんな文字が書いてあるか分かりますか?」ということです。

例文を通して確認してみましょう。

A: We need to meet with the client instead of Brian today.

B: Why? What happened to him?

A: He is off today because he has the flu.

B: Come on! Anyone can tell that he is lying. He has already taken three sick leaves this year because of the flu.

A: ブライアンの代理で、僕たちがクライアントに会わなきゃいけないよ。

B: なんで?どうしちゃったのよ?

A: インフルエンザで今日はお休みだって。

B: なに言ってんのよ!嘘をついてるって誰でも分かるわよ。あの人、今年3回もインフルエンザで病欠を取ってるのよ。

直訳すれば「彼が嘘をついていると誰でも言える」ということですが、嘘をついていると「分かっている」から「言える」わけですよね。

もう1つ例を挙げてみましょう。

A: Tobey, you look depressed. Is something wrong?

B: The other day at the family reunion, I called my wife by the wrong name, and she has refused to talk with me ever since.

A: How could you get your wife’s name wrong?

B: Well, my wife has a twin sister. They look so much alike, and it’s very hard to tell one from the other.

A: トビー、落ち込んでるみたいね。どうかしたの?

B: このあいだ親戚の集まりでさ、奥さんの名前を間違えて呼んでしまったんだよ。それ以来、口をきいてくれないんだ。

A: どうやったら奥さんの名前を間違えられるのよ!

B: それがさ、僕の奥さんには双子の妹がいてね。本当によく似てるから、見分けるのがすごく難しいんだよ。

「見分ける」「区別する」という意味ではtell A from Bの形がよく使われます。

fromは「隔たり」を表す言葉ですから、「AとBを隔てる」つまり「見分ける」「区別する」という意味になるわけですね。

今回はtellという言葉について「伝達する内容」に着目するという、この言葉の持つ本質をもとに考えてみました。ただ単に「口にした言葉」に着目するsayと比較しながら理解していただくと上手に使えるようになると思います。
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