英文法を勉強するときの大切なポイント5選(前編)

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英語・英会話を習得するためには、英文法を学ぶことが不可欠です。しかし、多くの人が中学・高校の少なくとも6年間は英文法を勉強するのに、どうして英語を自在に操り、英会話を楽しむことができないのでしょうか?端的に言えば、英文法を勉強するときのポイントを知らず、英文法を勉強するやり方が間違えているからです。今回は英語・英会話を習得するために、英文法を勉強する際の5つのポイントについて検討してみたいと思います。

1.英文法の「本質」を正しく理解する

英文法を勉強する上で、ある程度の「暗記」が必要とされるのは事実です。

しかしそれは、英文法の理論を抜きにした「丸暗記」ではなくて、英語の「本質」に関する「理解を伴う暗記」です。

この「本質の理解」が英文法を勉強するときの最大のポイントと言っていいでしょう。

みなさんご存知の、助動詞”can”を例にとって、このポイントについて考えてみましょう。

英文法の参考書などを見てみると、canには少なくとも「能力」「可能性」「許可」「依頼」などの意味があると書かれています。

詳しい英文法書には、「強い疑い」「否定的な推定」「軽い命令」「遺憾な気持ち」などの意味があるとも書かれています。

英文法書に列挙されているこのような意味を、英語の例文を繰り返し練習して身に着けていくのが「英語の本質を理解した暗記」…ではありません!これでは依然として単なる丸暗記です。

残念ながら「英語の理解を重視します」「英文法を理論的にご指導します」と言いながら、旧態依然たる丸暗記型の英文法指導をする英語教師は少なくありません。

英文法の参考書にはcanの意味がいろいろと列挙されていますが、英語ネイティヴにとってcanはcan以外の何物でもないのです。

英語の「本質を理解する」とは「なぜcanという1つの助動詞に様々な意味があるように見えるのか?」を知ることです。

それを知った上で、英語の例文を通して練習し、アウトプットの訓練をして覚えることが重要なポイントなのです。

英語の「本質」についての理解が伴えば記憶も容易になりますし、応用が利くようになります。勉強したことが活用できるようになれば達成感があり、モチベーションも上がります。

その一方で英語の「本質」を理解していない丸暗記では勉強のモチベーションも上がりませんし、応用が利かないので膨大な記憶作業を必要とします。

これでは勉強を継続できるはずもなく、結果として英語の習得が挫折する原因ともなってしまうのです。

2.英語の関する「疑問」を持つ感性を大切に!

丸暗記型の英文法学習を避けるためには、英語・英会話を勉強する上で「なぜ?」という疑問を持つことがポイントです。

具体的な英語文を例に挙げてみましょう。

I like having a flower on my dining table.

I think a rose is the flower for her coming birthday party.

それぞれ「私は食卓にお花を飾るのが好き」「今度の彼女の誕生会のお花にはバラがいいと思う」という意味です。

この英語文と日本語訳を見たとき、そのままスルーしてしまう人と、「かたや”a flower”と言い、かたや”the flower”と言っているのはなぜだろう?」と疑問を感じる人とでは、英文法の理解の深さに差が出ます。

「なぜこんな形になるのだろう?」「なぜこんな意味になるのだろう?」と、英語についての疑問を持つ感性がある人は、その疑問をきっかけとして英文法の理解を深めることができるのです。

一方、「何でもかんでも丸暗記!」という人は、自ら勉強を深める機会を失っていると言えるでしょう。

英語に関する疑問のすべてを自力で解決することは難しいものです。しかしそれを気に病む必要はありません。

自力で解決できないことは、答えられる人に質問し、教えてもらえばいいのですから。

筆者が一緒に英語・英会話を勉強してきた方の中には「こんな基本的な英語の質問をするのは申し訳ないのですが…」と気遣ってくださる人もいらっしゃるのですが、そんなことを気にする必要はまったくありません

むしろ「疑問は英語力・英会話力を向上させる種」と思っていただいて、どんどん質問されるのが大事なポイントです。

3.英語・英会話の勉強にネイティヴ感覚を取り入れる

英文法を学ぶときは英語の「本質」を理解することが大事だと言いましたが、そのときのポイントが「勉強にネイティヴ感覚を取り入れる」ということです。

英語学習者の中でも苦手とする人が多い現在完了を例に考えてみましょう。

多くの日本人が現在完了を苦手としていますが、それは「現在完了の形は『have+p.p.』、意味は『継続』『経験』『完了』『結果』の4つ」と、英語の「本質」を理解せず丸暗記するからです。

そもそもネイティヴは「『経験』について言いたいからhave+p.p.を使おう!」などと考えないはずです。

そんな思考回路では英語がスムーズに口から出てこないでしょう。

「『完了』用法のときは「~した」という意味になる!」などと、英語の理解を抜きにして丸覚えしている人もいます。

しかし「彼が昨日、私のオフィスに来た」というときに“He has come to my office yesterday.”とは言いません。“He came to my office yesterday.”です。

一方で「やっと春が来ましたねえ」というときには“Finally, spring has come.”であって、“Finally, spring came.”とはなりません。

同じ「~した」という表現なのに、なぜ前者は過去形を使い、後者は現在完了を使うのでしょうか?

英語の文法書などには「現在完了は過去を表す英語と一緒に用いない」と書いてあります。

“He has come to my office yesterday.”という英語文では現在完了とyesterdayという過去を表す英語が一緒に使われているから誤りだ、というのです。

普通はこのような解説がされますが、それでは“He has come to my office yesterday.”という英語文を話すとき、ネイティヴはyesterdayという過去を表す英語を使うことをあらかじめ頭の中で決めていて、それを見越して現在完了ではなく過去形を使うのでしょうか?

まさか、そんな面倒なことはしないでしょう!

また“I’ve known Mr. Brown since 2010.”という英語文について考えてみましょう。

これはまったく問題のない英語文ですが、ここでは2010という過去を表す英語が使われています。

先ほどの説明に沿って考えるならば、この英語文で“have known”と現在完了を使うのは誤りになるのではないでしょうか?

普通はこのようなとき、「現在完了が使われる場合も、sinceのうしろでは過去を表す英語を使っても良い」「sinceがあれば例外的に現在完了と過去を表す英語を一緒に用いても良い」という説明がされます。

にもかかわらず、“I’ve known Mr. Brown since two years ago.”という英語文は、英文法的に誤りだとされます。

sinceがあれば例外的にtwo years agoのような過去を表す英語と現在完了を一緒に使っていいはずではなかったのでしょうか?

すると今度は、「いかにsinceがあっても、sinceとagoは相性が悪いから一緒に使うことはできない」などという説明がされるものです。

ハッキリ言って、もうメチャクチャです!

しかしこのような解説が、もっともらしく行われている例は決して少なくありません。

これで果たして英語・英会話をマスターし、自在に英語を使えるようになるでしょうか?

現在完了と過去形の違いはただ一つです。「現在の状態に着目しているかどうか」、その一点に尽きるのです。

過去形は「現在とは切り離された過去」について述べるのに対して、現在完了は常に「現在」に着目しているのです。

「彼が昨日、私のオフィスに来た」と言うときには「現在」の状態はまったく意識されていません。ですから過去形を使っているのです。

それに対して「春が来ましたねえ」と言うときには話している「いまこのときも春」なのです。現在の状態に着目しているので現在完了を使ったのです。

さらに言えば、「彼はもう私のオフィスに来ているよ(そしていま、私のオフィスにいるよ)」などという場合は、現在の状態に着目しているので”He has already come to my office.”と現在完了を使います

現在完了の単なる表面上の「意味」ではなくて、現在完了を用いるときの「ネイティヴ感覚」、英語の「本質」を理解している人は、ルールだのルールの例外だのをあれこれ暗記しなくても、正しく英語を使うことができるのです。

このように英文法の学習にネイティヴの感覚を取り入れ、英語の「本質」を知ることは、英文法の理解を深め、自分でも英語を自在に使うことができるようになるため大事なポイントなのです。

少し長くなってしまいました。残り2つのポイントは次回ご紹介したいと思います。英文法の勉強は正しいアプローチで取り組めば、英語・英会話を習得する上でかなりの効果を発揮します。そしてなにより、本当の英文法、英語の「本質」を知ることは本来とても楽しいことなのです。今回ご紹介した3つのポイントをぜひ英文法の勉強に取り入れてみてください。
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