500語で充分って本当なの?英単語は何個覚えるべきか?

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「英単語を覚えるのが好きで好きで仕方ない!」という方にお目にかかる機会は決して多くありません。むしろ多くの人が英単語を覚えることに苦手意識を持っているのではないでしょうか。筆者もいまもって英単語を覚えることは決して得意ではありません。しかし英単語を覚えることは英語・英会話力を身につける上で避けては通れない道です。それでは一体、英単語は何個覚えるべきなのでしょうか?今回は覚えるべき英単語の数について考えてみたいと思います。

1.500語覚えれば大丈夫とは本当なのか?

英単語を覚えることに苦手意識を抱く人のことを考慮してか、英語教師の中には「英単語は500語覚えれば大丈夫!」「1000語知っていれば充分!」などと主張する人もいます。

この手の主張はたしかに魅力的です。しかし、500や1000の英単語を知っているだけで、本当に英語を使いこなすことができるでしょうか?

1つの指標として実用英語技能検定、いわゆる英検における語彙数の目安をご紹介します。

あくまで1つの目安ですが、500語~1000語程度の英単語を知っているだけでは英検4級程度の英語力ということになり、これでは英語を使って取ることができるコミュニケーションの範囲はかなり限られるでしょう。

また、後ほど詳しくご説明しますが、ネイティヴであれば3歳児でも3000語程度の英単語を知っているという研究成果があります。500~1000語程度の英単語力では、ネイティヴの3歳児にも匹敵しないということになり、これではビジネス英語はもちろん、日常英会話でも充分なコミュニケーションを取ることは難しいでしょう。

世の中には「これさえ覚えておけば!」的なミニマム論が散見されます。

このような主張は魅力的ではありますが、主張の前提条件やデータ的裏付けをよく考えておかないと、納得のいく学習成果は得られないと思われます。

2.英単語は「数」より「質」が大切って本当?

「英単語は数より質が大事!」という主張をする人も多くいます。「何個覚えている」ということよりも「知っている英単語を使いこなせるか」が大事だというのです。この主張には賛同できる部分もあります。

英語を「発信する」という点からすれば「使えない英単語」を何個もむやみに覚えるよりも、限られた英単語でも、それらをしっかり使えるようになる方がメリットがあると言えるでしょう。

しかし英語は発信するばかりではなく「受信する」、つまり読み取り聞き取ることも必要です。一定数の英単語を知っていなければリーディングやリスニングにおいて知らない単語が続出することになり、スムーズな理解を妨げることになってしまいます。

以上から分かることは、「英単語は『数』より『質』が大事だ」と一概には言い切れないということです。

別の言い方をすれば、学習の段階や目的に応じて「数」を優先するか、「質」を優先するかは変わってくるのです。

知っている英単語の数が1000語程度の段階の人は「数」を優先すべきでしょう。

一方、すでに5000語程度の英単語を知っている人で、難しい文章を読み取ったり聞き取ったりする必要はないが、スムーズに話せるようになりたいという人は「質」を考慮した学習をすればよいということになるでしょう。

3.ネイティヴは何個くらいの英単語を知っている?

いったい何個の英単語を覚えればよいのか?その目安として、ネイティヴが知っている英単語の数について研究機関が発表している統計をご紹介します。

アメリカの研究機関TestYourVocab.comによると、ネイティヴの年齢別平均語彙数は以下の通りです。

10歳で10,000語の英単語を知っているという調査結果を見ると愕然とされるかもしれません。

上述した英検の語彙数の目安からすると、英検1級を取ったとしてもネイティヴ基準では10歳程度ということになってしまいますから。

しかし気にする必要はありません。母国語の語彙力と第2言語の語彙力の差などというのはそんなものです。簡単なものも難しいものも合わせて、母国語で知っている単語の中には実社会で使わないものがたくさん含まれています。

たとえば、ネイティヴの3歳児が知っている英単語の中には「dada」(fatherの幼児語)が入っているでしょうが、「father」は知らないでしょう。

10歳のネイティヴが知っている英単語の中には「giraffe」(キリン)が入っているでしょうが、「negotiation」(交渉)は知らない人も多いでしょう。

ノンネイティヴの私たちが、たとえばビジネスで英語を活用しようという時に、「dada」や「giraffe」はおそらく必要ないでしょう。つまりネイティヴの知っている英単語の数と、ノンネイティヴが必要とする英単語の数は単純比較できないのです。

ちなみに日本語の年代別平均語彙数については以下のような統計があります。

単純な平均語彙数からすれば、日本語ネイティヴの方が豊富な語彙を持っていることが分かります。

英語と日本語では言語が異なるので、単純な比較をしても意味がないかもしれません。しかし、平均的な日本語ネイティヴにこれだけ豊かな語彙があるということは、我々がそれだけの語彙を習得する潜在能力があるということでしょう。

この点をポジティヴに捉えて英単語の勉強を進める方が、ネイティヴの知っている英単語の数を気にするよりはるかに生産的です。

4.ビジネス分野別平均語彙数

台湾の義守大學が研究発表している興味深いデータに「ビジネス分野別平均語彙数」があります。

この研究発表では、語彙数が最も少ない分野は工場などの生産・作業分野で3,500語~8,000語

語彙数が最も多い分野は経営方針・戦略分野で5,000語~11,000語

先ほど紹介したネイティヴが知っている平均的な英単語の数の統計と比べてみると、平均語彙数が最も多い分野でさえ、10歳のネイティヴが知っている10,000語程度の英単語力があれば対応できるということになります。

しかし、先ほども述べた通り、表面的な数字にのみ着目してはいけません。

10歳のネイティヴが知っている10,000語の英単語の中にはビジネスとは無縁のものがある一方、ビジネスでは必須の英単語を10歳のネイティヴは知らないことが充分にありえますから。

5.自分に必要な英単語を知ろう!

英検の目安語彙数、ネイティヴ平均語彙数、ビジネス分野別平均語彙数などを考慮すると、一応の結論として10,000語あたりの英単語力を使える「英語力の分岐点」と考えることができそうです。

10,000語ということは、1日1つの英単語覚えたとすると27年以上かかる計算になり、絶望してしまいそうです。

しかし悲観的になってはいけません。

10,000語の中には「a」「the」「I」「you」などの基本的な英単語も含まれるわけです。10,000という数字に意気消沈する前に、まずはご自身の現状の語彙力を、簡易的にでもいいので把握しましょう。

手軽に使える無料語彙力診断ツールとして、次のようなものを活用してみるとよいでしょう。

Test your English vocabulary

Weblio語彙力診断テスト

そして何より他大事なのは「自分に必要な英単語を見定める」ということです。どのような目的で英語を学ぶかにより、何個の英単語が必要かという基準は異なるものです。

たとえば、小さなお子さんと一緒に英語を勉強したいという方にとっては「puppy」(子犬)という英単語は必須でしょうが、ビジネスで英語を使う人はこの英単語を知らなくても良いでしょう。

金融関係のビジネスで英語を使う方は「volatility」(価格変動性)という英単語を知っておかねばならないでしょうし、医療分野で英語を使う方にとっては「respiration」(呼吸)という英単語は必須語彙でしょう。

英単語帳などで地道に語彙を増やすことは重要ですが、それ以上に自分に必要な英単語を知ることが大切なのです。

最終的に英語力のレベルを決するのは英単語力です。しかし英単語を覚えることは決して平坦な道ではありません。自分に必要な英単語を探しつつ、それを効率的・効果的に覚える工夫が必要です。英単語を覚える工夫については、今後の記事でご紹介したいと思います。
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