遅すぎるなんてことはない?英語・英会話の習得と年齢の関係性
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「自分の年齢だと英語や英会話の上達は望めないでしょうか?」
このようなご相談をいただくことがしばしばあります。
英語・英会話に限らず、何かを学ぶときには「年齢」という要素はたしかに気になるものですよね。
しかし、よく言われるように、年齢とともに英語・英会話の習得は加速度的に困難になるのというのは本当なのでしょうか?
今回は英語・英会話の習得と年齢の関係性を考えてみたいと思います。
1.英語・英会話学習における「臨界期」という考え方
英語・英会話の学習において臨界期(Critical period)という言葉が使われることがあります。
ある技能を習得するために最も適している年齢、逆に言えばそれを過ぎると技能の習得が難しくなる年齢のことです。
英語・英会話も技能である以上、臨界期が存在すると考えられてきました。
さまざまな説が唱えられていますが、12歳~15歳あたりで線引きをすることが多いように思われます。そしてこの年齢を過ぎると英語・英会話の習得は難しくなると考えられています。
この臨界期という考え方は幅広く信じられているようです。「自分の年齢ではもう…」と英語・英会話の学習に二の足を踏む人が少なくないのもこのためでしょう。
またせっかく学習を始めたのに「この年齢だから…」と英語・英会話の伸びをあきらめてしまう人にもしばしば出会うのも、臨界期が広く信じられていることが原因の1つだと思われます。
2.「臨界期」は仮説にすぎない!
しかし、英語・英会話学習における臨界期は科学的に証明されたものではありません。
ですから、英語・英会話における臨界期に関する考え方は正確には「臨界期仮説」と呼ばれます。あくまで「仮説」であって、科学的に実証された理論ではないのです。
実際に臨界期と呼ばれる年齢を過ぎてから英語・英会話の学習を始めて、高度な英語力・英会話力を身に着けることに成功した人は数多く存在します。
40代、50代から学習を始めて目標とする英語・英会話レベルに到達することができたという人は、決して珍しくないのです。
このため「臨界期」という考え方やそこで示される年齢は、英語・英会話の習得を断念したり、上達に見切りをつけたりする根拠にはならないと言えるでしょう。
3.目指すゴールは「英語ネイティヴ」ですか?
そもそも臨界期仮説とそこで示される年齢は、英語の「ネイティヴ」になることを前提に考えられた基準です。
ですから「英語ネイティヴになること」を目標とするなら、いわゆる「臨界期」年齢より前に英語・英会話の学習を開始することが必須かもしれません。
ところが、多くの英語・英会話学習者の目標は「英語ネイティヴになること」ではないと思います。
英語を用いてネイティヴを相手に、必要にして充分なコミュニケーションを取ることができれば良いはずです。
英語のノン・ネイティヴでありながら、ネイティヴにほぼ匹敵する英語運用能力を習得した人のことを「ニア・ネイティヴ」と表現することがあります。
いわゆる「臨界期」の年齢を過ぎて英語・英会話の学習を開始し、「ニア・ネイティヴ」の域に達している人は一定数存在します。
その割合は調査や分析方法によっても異なりますが、カナダのMcGill Universityで調査研究を行ったLydia WhiteとFred Geneseeの両氏は、12歳以降に英語・英会話の学習を始めた人の中でニア・ネイティヴの域に達している学習者が約35%存在したという結果を報告しています。
この調査によると、英語・英会話学習者の3人に1人は、臨界期と呼ばれる年齢を過ぎて勉強を始めても、ニア・ネイティヴの域に到達しうるということですから、これはかなり勇気づけられる研究結果です。
このように考えると、ニア・ネイティヴを目指して英語・英会話の学習をするならば、臨界期と呼ばれる年齢の線引きは絶対的な障壁にはならないということが分かります。
つまり「自分の年齢ではもう英語は…」などと悲観することはないということです。
4.英語学習における「年齢」よりも大切なこと
英語・英会話の学習が成功するか失敗するかについて、大切なのは年齢ではありません。
年齢という要素がまったく無関係だとは言いませんが、それがすべてではありません。
それに、英語・英会話が上達しない理由を年齢に求めることはまったく生産的ではありません。言うまでもなく年齢を元に戻すなんてことはできないのですから。
では英語・英会話の習得において年齢よりも大切なものとはなんでしょうか?ここでは特に大切だと思われることを3つ挙げておきたいと思います。
① 目的と目標を設定する
第一に英語・英会話学習の目的と目標をきちんと設定することです。
前述のとおり「英語ネイティヴになる」ことを目指すならば年齢は大きな意味を持つことになりますが、それを目指す人は多くはないでしょう(そもそも学習を通して英語ネイティヴになるのは不可能ですが…)。
大切なことは英語・英会話を学習する目的を明確にすることです。
目的が明確になれば目標が定まります。その目標に向けて着実に進んで行くことの方が、学習成果を上げ、英語・英会話力を向上させるためにはずっと重要だと言えます。
② 最適な学習法を選択する
目的や目標が定まったら、それを達するために必要で最適な英語・英会話の学習方法を選択することが大切です。
英語・英会話力の土台を築くための学習は多くの人に共通する内容になると思いますが、レベルが上がってくればくるほど、個々人の目的や目標にふさわしいアプローチが必要になります。
また日本語ネイティヴならではの英語・英会話学習方法ということも考慮する必要があるでしょう。
日本語ネイティヴである私たちと英語ネイティヴとは、文化的背景や思考回路が異なります。ですから、英語ネイティヴとまったく同じ方法で英語・英会話を習得するのは、限りなく難しいのです。
日本語ネイティヴに合った学習方法を選択することも、英語・英会話学習成功のためには重要なカギと言えるでしょう。
③ 学習をコツコツ継続する
目的や目標を設定し、最適な学習方法を選択したとしても、その学習を継続しなければ効果は上がりません。
英語・英会話の習得に失敗している多くの人が学習を断続的に行っているようです。つまり学習を「やったりやらなかったり」という状態に陥っているということです。
英語・英会話はスポーツと同じだと言われることがしばしばあります。
スポーツは1日練習を休めば3日分後退するなどと言われることがありますが、英語・英会話も同じです。特にある程度の英語力・英会話力が身に着くまでは、いかに学習を継続させられるかが重要です。
たしかに年齢を重ねるにつれて記憶力や集中力が減退することはあります。
また職場ではより責任ある立場となり、家族のこともケアしなければならないなど、自分だけの時間がとりづらくなるのも事実です。
しかしその一方で人間は年齢とともに理解力と知恵を発達させます。
このような要素をうまく活用することも、年齢に関係なく英語・英会話を習得するためには大切です。
そして最も大切なことは「自分の年齢ではもう英語は…」というネガティヴなマインドセットを捨て去ることです。「英語・英会話力を身に着ける!」と決めた以上は自分を信じて、前を目指して進むことがなにより重要だと言えるでしょう。
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