急がば回れ!リスニングが上達するための前提条件と勉強法

【この記事は約5分で読めます】

「英語のリスニングが上達するにはどうすれば良いですか?」そう聞かれない日はないと言っていいくらい、本当によくいただくご相談です。何度も同じ英語を聞き、聞こえたことを書き出していくディクテーション。英語を聞いて真似して繰り返してみるリピーティング。英語を流しながら少しだけ遅れて後からついて言ってみるシャドウイング。リスニング上達のために「有効」とされる方法はいろいろありますが、どれを試してもなかなかうまくいかないという人がいます。そこで今回は英語リスニングが上達するための前提条件について考えてみたいと思います。

1.とにかくたくさんリスニングをすれば上達する?

「リスニングを上達させるにはとにかくたくさん聞きなさい」と主張する人がいます。

「母国語である日本語を身につける過程で、私たちも毎日のように日本語のシャワーを浴びたでしょう。それと同じようにたくさん聞いていれば、自然とリスニングは上達します」という論法です。

しかし私たちは英語のネイティヴではありませんし、まして第一言語形成期を過ぎてから英語を習得しようとしているのですから、母国語である日本語を身につけたのと同じやり方で英語を習得することは難しいでしょう。

また、「シャワーのように英語を浴びる」ことはたしかに大事ですが、日々の仕事や家庭の用事の中から英語を勉強する時間を捻出している人にとって、シャワーのように英語を浴びる時間を取ること自体、そう簡単ではないでしょう。

母国語以外の第二言語を、たくさん聞きたくさん読むだけで自然習得することは100%不可能だとは言いませんが、膨大な時間がかかることを覚悟しなければなりません。

第二言語を比較的短期間に、目標とするレベルまで向上させるには「自然に」というわけにはいきません。「意識的な」学習とアプローチが必要です。

2.リスニングは耳で行うリーディング

リスニングを上達させる前提条件としてリーディング力の向上が重要です。

当たり前のことですが読んで分からないものは聞いても分からないのです。

「耳で聞いた時には分からなかったけれど、スクリプトを読んでみたら簡単に理解できた!」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

逆に「文章で読んでもまったく分からなかったものが、音声で聴いたらはっきり理解できた!」という経験を持つ人はほとんどいないでしょう。

リスニングを本当に上達させたければ、リスニングの練習と同じくらいリーディングの練習に力を入れるべきです。読み取ることができる内容が増えれば聞き取ることができる内容も増えるからです。

その意味では「リスニングは耳で行うリーディング」と言うことができると思います。

そして読み取ることができる内容を増やすためには、語彙を増やすことはもちろん、文法や構文の理解も「意識的に」深めていかなければなりません。

つまりリスニングを本当に上達させたければ、回り道に思われるかもしれませんが、英文法の理解・習得やリーディングスキルの向上をさせることが前提条件になるのです。

3.英語の処理速度を上げてリスニングを上達させる

しかし文法をしっかりと学び読解力を向上させれば、リスニングも自動的に上達するわけではありません。

読解力の向上とともに一定程度のリスニング力はついてきますが、必ずぶつかる壁があります。

その壁とは「英語の処理速度=スピード」です。

前述の「聞いたときは分からなかったが読んだら分かった」という現象の根本的な原因の1つとして、英語の処理速度=スピードの問題があります。

ゆっくりと自分のペースで読めば理解できるものであっても、自分の処理速度を超えたスピードで話されると途端に分からなくなります

リスニングを上達させるためには英語の処理速度を向上させることも重要なのです。

英語の処理速度を向上させるには単に速い英語を聞くだけでは不充分です。大切なのは自らの発信速度を上げることです。そうすれば受信できる速度も向上します。

英語の発信速度を上げる訓練を具体的に3つ挙げてみましょう。

1.限界速度の音読練習

リーディングの練習や単語帳で勉強しているときなど、例文をただ単に黙読するのではなく、声に出して読んでみるという方は多いと思います。

そのときにただ音読するだけでなく、発音やアクセントに気を付けながら、発音が乱れないギリギリの速度で音読してみてください。

音読し自分の声を聴くことで記憶効率も上がりますし、一般に音読しているときは黙読しているときよりも集中度が上がると言われています。

実際に声に出せば英語のリズムなどもつかむことができるでしょう。

なにより高速で音読することは英語の反射神経を鍛えるための格好のトレーニングになります。

もちろんただやみくもに速く読むだけではだめで、英文の構造が分かった上で音読することが重要です。

2.時間を制限したリーディング

リーディングの練習をするときは時間制限を設けてみましょう

特に初めて読む文章は、たとえ意味が分からなくとも時間を制限し、できる限り高速で全体を読んでみます(速読)。

その後、時間を気にせずに、必要があれば辞書などを使って、文法構造などを意識しながらゆっくり読んでみてください(精読)。

大意を捉えることができたら、再び最初から最後まで、できる限り高速で読んでみます(速読)。音読と黙読の両方を試してみるとさらに効果が上がるでしょう。

リスニングに限ったことではなく、英語力の向上にはスピード意識が重要です。あらゆる学習の面で、常に時間を限ってスピードを上げることを心がけましょう。

3.Self Talkingにも時間制限を

Self Talkingの練習をするときにも時間を制限してみましょう。

話す概要を考えるときは時間をかけても良いですが、それを実際にしゃべるときには、文法や語法の間違いにはいったん目をつむり、とにかく高速で話してみます。

文法や語法は、ある程度のスピードで話せるようになった後で修正すればいいので、まずはスピードを重視してみましょう。

猛スピードで頭をフル回転させ、必死になって英語を作りしゃべってみる過程の中で、英語の処理スピードが向上していきます。

4.上達するにはリスニングだけに目を向けないで!

英語だけでなく言語というものは、「読む」「聞く」「話す」「聞く」というすべての技能が有機的に結びついています

その土台となるものとして、英単語・英熟語や英文法といった要素があります。

ですから、1つの技能を集中的に勉強しても、思ったような成果が出せないこともあるのです。

リスニングが上手く上達しない人は、リスニングにばかり目を向けてしまいがちです。

しかし、ときにはあえてリスニングそのものから、良い意味で離れてみることも必要です。

回り道に思われるかもしれませんが、リーディングやボキャブラリーの強化に目を向けることで、かえって上達につながることもあるのです。

今回はリスニングを上達させるための前提条件について考えてみました。リスニング力をつけようとする人の多くが、「とにかく聞く!」というマインドセットになりがちです。もちろん量を聞くことは大事ですが、それと同じくらいリーディング力を鍛え、語彙を増やし、英語の処理速度を上げることも重要です。ぜひチャレンジしてみてください。
Information

さよなら、丸暗記!英語の本質を理解して、本当に使える英語力を!
KMUメソッドで英語の基礎力・運用力を高める大人のための英語・英会話スクール
初心者の学び直し英語から中上級者のBrush Upまで幅広いレベルとニーズに対応!
スクーリングコースの他、オンラインレッスンにも対応可!

【東京・新宿】英語・英会話JPED
入会説明会・無料英語セミナー・オンライン無料個別相談、随時開催中!